山梨県歯科医師会長挨拶
大正5年(1916年)創立の山梨県歯科医師会は、平成28年(2016年)に100周年を迎えました。むし歯の洪水と言われた昭和の時代、平成の時代となると、むし歯は徐々に制圧されるとともに歯周病がクローズアップされて来ました。それと同時に歯周病と全身疾患との関わりも明らかになり、生活習慣病対策の一翼を担う意味でも、平成元年より始まった8020運動を通じ歯科保健を推進して来ました。本県は健康長寿日本一となっていますが、まだまだ平均寿命との間には大きな開きもあるなか、歯科の立場からは、妊産婦期から高齢期に至る切れ目のない歯科保健医療の推進、即ち定期的な歯科健診と保健指導を受けることが求められます。
定期的な歯科健診を受けている人は、そうでない人と比較して口腔内の疾患が少なく軽度であるというデータもあります。先ずは「かかりつけの歯科医院」を持ち定期的な管理を行うことが大切です。
また、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を見据えた、医療の提供体制の改革では、病床の機能分化・病床の削減により、病院から在宅へと医療提供体制を転換し、住み慣れた地域で高齢者を支える「地域包括ケアシステム」を進めています。
その枠組みの中で、要介護状態となっても「生きがい」などの生活の質が保てるように、医療・介護関係者ばかりでなく地域全体で高齢者を支えていかなければなりません。そこに我々歯科関係者の果たすべき役割もあります。
しかしながら、従来の歯科医療は外来診療が中心であり、高齢者等が疾病などで入院や、在宅での療養となった際には治療や管理が途絶えてしまい、口腔疾患の重症化ばかりでなく摂食嚥下機能も低下してしまっています。そのようななかで、う蝕や歯周病などの口腔疾患ばかりでなく、摂食嚥下機能などの口腔機能を生涯にわたり維持できるような体制の整備に取り組んでいます。
本会には在宅診療に関する相談窓口として在宅歯科診療連携室を整備していますが、何なりとご相談いただけと幸いです。
会長 三森 幹夫
・一般社団法人山梨県歯科医師会 定款(PDF 150KB)
・山梨県歯科医師会役員名簿(PDF 52.7KB)
「8020運動」ってなに?
「80歳になっても自分の歯を20本以上残そう」という運動です。 言いかえれば、80歳は人の一生(平均寿命)であり、20本は自分の歯でなんでもおいしく食べられるために必要な歯の本数です。
一生涯自分の歯でなんでもおいしく食べましょうという運動です。(人の歯は28本、上下左右の親知らずを含めると32本あります) 24年度に行った、山梨県の歯科疾患実態調査によると、80歳で残っている歯の本数の平均は、13.6本でした。
なぜ80歳で20本なの?
答1. |
歯が20本残っていると硬いものなどほとんどの食品が不自由なく食べられ、栄養バランスばかりでなく「食べる」楽しみにより精神的にも身体的にも大変重要なことです。(硬いもの:フランスパン、酢だこ、イカの刺身、スルメイカ、かた焼き煎餅) |
答2. |
歯が20本以上残っている人は、そうでない人と比較して行動的であり、旅行や外出、仕事や趣味にも積極的に取り組み、健康であるというアンケート結果もあります。 |
答3. |
健康であることを裏付けるために、お医者さんにかかる医療費の調査を行いました。 山梨県在住の65歳以上の高齢者を対象として、残っている歯の本数と、医科のお医者さんに要した医療費の比較調査を行いましたが、明らかに残っている歯の本数が多いほど医科にかかる医療費が少なかったという調査結果ができ、健康であるという証となっています。 |
山梨県歯科医師会の事業内容
 歯科医師会館 |
- 口腔保健の確立及び口腔衛生の普及徹底
- 行政及び地域住民との連携の強化
- 在宅要介護者等の歯科保健医療の推進
- 医療保険サービスの充実(休日夜間救急歯科医療の充実、施設巡回歯科診療の検討、病院入院患者歯科診療の検討)
- 事業所等の歯科保健事業の推進
- 高齢者歯科医療対策の推進
- 学校歯科保健の向上と充実
- 地域歯科保健事業の強化
- 心身障害者の歯科保健医療の推進
- 介護施設における歯科診療モデル事業の推進
- 介護保険制度における「山梨県口腔ケア支援センター」の推進
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